算数「かけ算の順序」を中心に数学教育を考える

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zoom RSS 「かけ算の順序」概略その1               方便から迷信までの進化(?)の過程

<<   作成日時 : 2011/02/11 00:06   >>

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 「かけ算の順序」は根の深い問題である。このブログでは、この問題について様々な角度から検証していこうと思うが、

 今回と次回は、要するに「かけ算の順序」問題とは何なのか、という概略を書く。ネット上で、「かけ算の順序」が議論になったら、「ここを読めば大体のことは分かるから」とここのURLを示してもらえるような、そういうのを目指している。

「かけ算の順序に拘る授業」とは、「4人に3個ずつ蜜柑を配る。蜜柑は何個必要?」という問題では、「3×4が正しい式で、4×3は誤り」とする指導法である。

この様な指導法の方が、「かけ算の順序はどちらでもいい」という指導よりも優れている、という考えがあるらしい。


ア 何も考えずに出てきた数字の順番にそのまま掛ける子がいるので、(1つあたり) と(いくつ分)を意識させて、文章題の意味を考えさせるようにする。
イ (1つあたり)×(いくつ分)の順序に固定することで、子どもが理解しているかどうかの判断材料になる。
ウ 順序はどちらでもいいとしてしまうと、順序が重要な意味を持つ割り算でも間違った順序にしてしまいがちなので、かけ算を教える段階で順序を意識させる。
エ 低学年の子は、「どちらでもいい」としてしまうとどうしていいのか分からなくなって混乱してしま場合がある。

といったことらしい。私自身が、順序に拘る必要性を感じていないので、はっきりとは分からないが、色々見聞きすると、上記のようなことらしい。


で、これらの理由が、本当に合理性のあるものなのか、ということはいずれ検証するとして、ここではとりあえずそういう理由があると仮定しておく。

とにかく最初は、教え方の1つの方法にすぎなかった。

それが以下のような経過で変容していったと思われる。


■1 「教え方として、かけ算の順序に拘る方が優れている」という考えがある■

 ところが、教師一人一人が、「かけ算の順序に拘るべきか否か」と考えて、模索しながら、「順序はどちらでもいいとしたがうまくいかなかった。順序に拘ったら子どもは良く理解した。」というような経験を経て、「順序に拘った方がいい」という結論に達して順序を指導しているわけではない。

 教師用の教科書指導書や算数教育の研究会などで「順序に拘る指導」が奨励されている。多くの教師は、「そういう教え方が優れているのだろう」と、深く考えることなくそれに従って指導することになる。


■2 「順序に拘る教え方が優れている」というのが、通説になる■

 教え方の1つとして「順序に拘る」というのが、「そう教えることになっている」という具合になってくると、「そう教えないとならない」と義務感を持つ教師も出てくる。こうなってくると、「教え方として優れているかどうか」というのは関係なくなり、「順序を教えることが目的」になってしまう。


■3 「順序に拘る」が教える方法ではなく、目的になる■

 このあたりになると、「順序」が「教えるための方便」から「出世」して、教師自身が、「本当にかけ算には順序がある」と勘違いするようになってしまう。


■4 「かけ算の順序と正しく書かせるためには、単位に着目すればいい」などと言い出す教師が出てくる。

「4人に3個ずつ蜜柑を配る。蜜柑は何個必要?」という問題では、「個」を答えるから、「3個」の方が前に来る。
これでめでたく、3×4という正しい式が立てられる。3個×4人=12個 こうやって単位のサンドイッチを作れば間違いないですよ。

という、おめでたい指導がなされる。当初の、かけ算の順序に拘る教え方をする理由が仮に正当性があるものであったとしても、この段階ではすっかり忘れ去られている。

この方法であれば、文章題の意味を理解しなくても「正しい順序」に式を立てることが出来るから、

ア 何も考えずに出てきた数字の順番にそのまま書ける子がいるので、(1つあたり) と(いくつ分)を意識させて、文章題の意味を考えさせるようにする。
イ (1つあたり)×(いくつ分)の順序に固定することで、子どもが理解しているかどうかの判断材料になる。

という「順序に拘る指導のメリット」(があるのかどうか知らないが)は台無しになってしまう。


■5 「前の単位が答えの単位に一致する」などという「ルール」を捏造して、「だから逆は間違いです」などという言い出す教師が出てくる。

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「妻に叱られた算数の数え方」 (40 歳, 地方公務員)
妻が小二の娘に、文章題の掛け算式の立て方を教えていた。 娘は、四人に五枚ずつ色紙を配るから 「4×5」 と式を立てた。 ところが、妻は 「5×4」 の順序でなければいけないという。
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「論理的思考の指導に時間を」 (小学校教員 31 歳)
15 日の 「算数の教え方」 の投稿について一言記したいと思います。
 抑々 4 × 5 には, 4 の五倍という意味があります。 4 人の五倍では答が 20 人になってしまいます。 これでは問題文の内容を理解しているとは言えないのではないでしょうか。 五枚ずつ四人にという文章題に当てはめると、五枚の四倍で答は二十枚、5×4 という式が妥当なわけです。 その文章に応じて式を作ることを、指導していかなければなりません。
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「かけ算の順序」は教える上での方便だった。方便が目的になってしまって、「正しい順序に式を立てるには単位に着目するといい」という「方便の方便」が作られる。この段階で最初の目的は台無し。そしてその方便の方便にすぎない「前の単位が答えの単位に一致する」というのが、「ルール」になってしまう。捏造したルールを論拠に「だから逆の順序は間違いです」などと平然と言い放つ。むちゃくちゃである。


■6 長方形の面積を横×縦にするとバツにするトンデモ教師まで出てくる■

さすがにこれは、「順序は大切」と主張する人にも評判は悪いが、現実にいるから恐ろしい。


 以上はあくまで推測であるが、

教えている人自身がかけ算を理解していないで、「順序」が単なる方便であるという認識がなく、「かけ算の順序は重要。3×4と4×3は、結果は同じだけど意味は全く違う」と思い込んでいることはほぼ間違いない。


 「かけ算を教え始めの段階では、『かけ算の順序は重要。3×4と4×3は、結果は同じだけど意味は全く違う』と教えた方がいい」

ということであれば、同意は出来ないが、そういう考えもありうるという理解は出来る。

しかし実際はそれにとどまらず、教えている側が本気で「3×4と4×3は意味が全く違う」と思っているようである。そうであれば、教師自身がかけ算を理解していないことになる。

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内 容 ニックネーム/日時
かけ算の教え始めどころか、大体小学校4・5年生ぐらいまではそのまま順序ありで教えた方が教育効果があると俺は思う。

一発で覚えることができるなら、教育なんていらない。子どもは延々間違って、何度も何度も何度も何度も同じことを間違って成長していくのが「普通」だからだ。

文章を詳細に読んで意味を考えるなんて面倒なことは、子どもはしたくないのだ。それを習慣づけるのは繰り返ししかない。俺は、素直に文章の意味を捉えるように習慣づけた記憶があるが、それがほとんど全ての子どもができるわけではない。
らんで
2011/03/10 23:40

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